回転性のめまい、難聴、耳鳴り、耳閉感が同時に起こるメニエール病・・・「メニエル病」「メヌエル病」「メニエール氏病」とも呼ばれています。
強い回転性のめまいがなく、低音だけが聞こえにくくなるものは、蝸牛型メニエール病といい、本格的なメニエール病の一歩手前といえるでしょう。
病態はメニエール病と同じ、内耳の内リンパ水腫です。
激しい回転性のめまいが起こるため、吐き気や嘔吐を伴い、まっすぐ歩くのが難しく、トイレに這って行っても便座にうまく座ることができないので、トイレも困難になることもあります。
内耳疾患なので、脳には異常はないので、意識ははっきりしているのが特徴です。
発症は30~50歳くらいの女性に多く、厚生労働省の特定疾患に指定されている難病とされています。
耳のしごと
耳には2つのしごとがあります。
音を聞く
バランスをとる
耳は、外側から順番に、外耳(がいじ)・中耳(ちゅうじ)・内耳(ないじ)という3つの部分から構成されています。
鼓膜より外側を外耳(がいじ:耳介、外耳道から成る)、鼓膜より内側を中耳(ちゅうじ:鼓室、耳小骨、耳管、鼓膜張筋、アブミ骨筋から成る)、カタツムリのような形状の部分を内耳(ないじ:蝸牛、前庭、三半規管から成る)といいます。
耳の外から入った音は、まず鼓膜を振動させ、中耳の耳小骨を通じて内耳へ伝わり、内耳の中のリンパ液を振動させ、その信号が脳に伝えられ、そしてようやく「音がする」とわかる、といった仕組みになっています。
そして、内耳では更にからだのバランスをとる役割も担っています。
活動するたびに、複雑な管状の内耳に満たされているリンパ液の流れや耳石器によって速さや水平方向と垂直方向を測定、脳に信号を送ってバランスをとる事ができているのです。
メニエール病は内耳のむくみ?
メニエール病は原因不明とされていますが、対処法としては、内耳のむくみをとる手法がとられます。
病院では主に利尿剤、また内耳の神経を改善する目的でビタミン剤や末梢の血流を改善する薬が処方されます。
中医学(中国漢方)では、メニエール病を発症した方の生活習慣や食生活などを聞くことからはじめます。
そこにメニエール病に至った原因が潜んでいるからです。
メニエール病を発症した方の多くに共通している点は、過労・ストレスフルな環境・食生活の不摂生が挙げられます。
漢方薬は効き目が遅くて・・・
というのは間違いです。
証にあった漢方薬を用いることで、早い改善を実感することができるでしょう。
メニエール病、改善ポイント
過労、疲れ、ストレスを溜めない、適度に休み、適宜発散する!
睡眠不足や、睡眠の質を見直してみよう!
腹七分を心がけ、冷たいものや生ものを食べすぎない、飲みすぎない!
お酒は一日コップ1杯を目安に、休肝日を4日に1日はとろう!
すいか・冬瓜・きゅうりなど、余分な水分を排出をする旬の野菜を取ろう!
気の流れを良くするハーブ(香りの良い野菜)をとろう!
黒い食べもの(黒豆、黒米、黒きくらげ、黒ごま)をとろう!
刺激の強いもの、香辛料は控えめにしよう!
体をしめつける服装を控えよう!
温かいものを飲食し、暖かい服装で、冷えないようにしよう!
よく使われる漢方薬
気の流れを良くしてイライラをとり除く
イスクラ逍遙丸(しょうようがん)、加味逍遙散エキス顆粒(かみしょうようさん)、イスクラ瀉火利湿顆粒(しゃかりしつかりゅう)など。
腎の働きを補う
イスクラ双料杞菊顆粒S(そうりょうこぎくかりゅう)、イスクラ杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)、ジメイ丸(耳鳴丸)、イスクラ参馬補腎丸(じんばほじんがん)など。
余分な湿と熱を取り除く
イスクラ温胆湯エキス顆粒(うんたんとう)など。
ひとりひとり、対応する漢方薬が違ってきます。
メニエール病は命にかかわる病気ではありませんが、日常生活に支障をきたす病気ではあります。
早期発見、早期対応が、上手に治す鍵となります。
早め早めの対策が大切です。お気軽にご来店ください